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2008-03-18 Tue 21:12
あるところに料理人がおりました。
切る、刺す、炙る(笑)が大好きなので料理人になりました。 切る、刺す、炙るで色んな料理を作る事が大好きでした。 ある日、そんな料理人の足元に絡みつく一羽のひよこがおりました。 「これこれ・・・こんなところに来てはいけないよ。僕は怖い料理人なんだよ。 こんな所に来たら、皮を剥いで炙り焼きにしてしまうぞー!」 何度も何度も脅かされても、ひよこはぴよぴよと料理人の足元にまとわり着いて離れません。 「こんな小さいひよこじゃなあ・・・皮も剥げない。切り刻む肉も無い。どうしようもないもんなぁ^^;」 そう苦笑いしながら、料理人はとうとうひよこを抱き上げてポケットに入れました。 回りの鶏達が口々に噂をしあいました。 「ふん!どうせ直ぐに捨てられるに決まってるよ!あーんなひよこじゃあ何も楽しめないからね」 「そりゃあそうだ!所詮一時の気まぐれに違いないよ。」 噂が聞こえたひよこは、ひよこなりに大人の雌鶏になろうともがきました。 もがいてもどうしようも無いと気が付いて、ポケットから逃げ出そうとした時もありました。 その度に、料理人が「黙って此処に居なさい。此処がお前の居場所だろう?」 と、深くて暖かくて居心地のいいポケットに戻してくれました。 ひよこはやっぱりひよこのまんまで、何年経っても決して大きく育つ事はありませんでした。 ひよこのまんまで、ポケットから垣間見た外の世界の事を料理人にお話しました。 楽しかった事、悲しかった事、疑問や質問。なんでもお話しました。 料理人は何もわからないひよこに、その度に色々と言葉を尽くして教えてくれました。 そんなある日、ひよこは凄い事を聞いたのです。 遠く離れた湖の横の三番目に生えた葦の根元には、小さいとさかが埋まっていると。 ひよこが憧れていたとさかです。大人の鳥の証です。 ひよこは思い切って料理人にお願いしてみました。そのとさかが欲しいと・・・。 ちいさいとさかがついたところで、ひよこはひよこでしかありません。 そんな事はひよこ自身が一番わかっている事なのです。 料理人は笑いながら「ひよこにとさかは似合わんと思うぞ」と言いますが ひよこは信じているのです。いつか、きっといつか、、、小さいとさかが生えて来て 小さいとさかをつけたひよこになれると・・・。 そうして・・・今日もひよこは料理人の深くて暖かいポケットの中安心してすやすや眠るのでありました^^ |
| 魔女と天使の狭間で |
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